研究概要 |
本研究の第一の目的であるWebを使った情報検索や学習におけるメタ認知的な能力の重要性について実験心理学的な手法を用いて検討した.具体的な方法としては,Webに関する知識や経験が豊富なExpertと知識や経験に乏しいNoviceを被験者として,情報検索課題を解決する実験を行った.実験から得られた被験者の行動や発話のプロトコル分析を行い,メタ認知的な活動がExpertとNoviceでどの程度異なるのかを質的と量的の2っの側面から分析した. Webの情報検索におけるメタ認知的な活動の有効性を実験的に検証した後に,本研究の第二の目的である認知科学的な知見に基づいた利用者自身のスキルの改善や向上を目指した支援システムの開発を行った.具体的には,利用者のWeb検索や学習のプロセスを視覚的にフィードバックすることによるリフレクションや自己説明といったメタ認知的な活動の支援である.そのために、簡易Webブラウザ機能と,プロセス描画機能を備えた支援システムを作成した.簡易Webブラウザ機能とは,一般に広く使われているWebブラウザの基本的な機能を備えたブラウザである。一方,プロセス描画機能は,利用者が簡易Webブラウザを使って検索や学習を行ったプロセスを,Web探索プロセス記述スキーマに従って描画する.Web探索プロセス記述スキーマとは,申請者がこれまでの研究において問題解決の理論をもとに提案したスキーマで,探索者のプロセスを探索空間とノード,オペレータで表現する. システムの開発後,システムの有効性について評価実験を実施し,良好な結果を得た。
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