研究概要 |
1.様々なレベルの授業シーン映像形態についての使用感などの比較検討 授業シーン映像形態として以下の三つのレベルが考えられる. ●レベル0:秒間6フレーム(6fps)の動画形態⇒ビデオレートで入力した画像をそのまま送信するものに近い. ●レベル1:秒間1フレーム(1fps)の動画形態⇒一定の時間間隔で切り出す藤田,三尾の方式であり,最も簡単な圧縮処理といえる. ●レベル2:矢印形態⇒背景変化時にのみ背景画像を切り替えたものに,指示棒の先を示す矢印を6fpsで追加した動画 (1)上記3種類の講義映像を制作し,どこを説明しているかが分かるか,文字は見やすいか,講師の表情が分かるか,講師の身振り・手振りが分かるか,の4つの評価項目について,受講者から映像形態ごとの評価を得た.その結果,滑らかな動画に見える6fps動画に比較して,1fps動画形態は劣っていたが,矢印形態には有意差は見られないことがわかった. (2)また,講義で説明された基本的事項に対する被験者の理解度を確認するため,筆記式のテストを行い成績の比較を行った.理解度の観点では,今回の実験では,「6fps」,「1fps」,「矢印」のいずれの形態でも有意差は見られなかった.これは,理解度という,本質的に個人差の大きい評価方法をとったことに起因すると思われるが,実験方法にさらなる工夫の余地もあろう.また,黒板を用いた講義の映像への適用などが,今後の研究課題である. (3)以上をまとめると,三つの講義映像形態を,ファイル容量,学生の成績や使用感などに基づいて評価した.その結果,動画に近い映像効果を示しながら,ファイル容量を少量の静止画を順次呈示する形態と同程度まで著しく小さくすることのできる,矢印形態の有効性を示した.
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