• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

陸域炭酸塩堆積物から環境変遷を読む

研究課題

研究課題/領域番号 15651006
研究機関九州大学

研究代表者

吉村 和久  九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (80112291)

研究分担者 松岡 史郎  新潟大学, 理学部, 助教授 (10219404)
松田 博喜  熊本大学, 理学部, 助教授 (80274687)
井倉 洋二  鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60203270)
キーワード古環境情報抽出 / 陸域縞状炭酸塩 / 鍾乳石 / 石筍 / 年縞 / 顕微分光法 / 絶対年代 / 硫酸塩濃度
研究概要

鍾乳石とトゥファから環境情報を取り出すための手法を確立することを目的として、次の項目について検討を行い、それぞれの項目に関して以下の成果を得ることができた。
1.秋吉台の鍾乳石試料を用いて秋吉台が草原化した時期を明らかにする。
(1)現在も成長を続ける石筍の絶対年代見積りには、今回確立した顕微蛍光法による年縞の計測が有効であった。
(2)鍾乳石およびトゥファ中で蛍光を発する成分のキャラクタリゼーションを蛍光スペクトル分析により行い、これらの蛍光にはいずれもフルボ酸の寄与が大きいことを明らかにした。
(3)草原地域の洞窟の石筍の炭素同位体比の変動を追跡することで、約400年前から継続的な"山焼き"が行われるようになったことがわかった。
2.平尾台のトゥファを用いて、過去130年間の北九州工業地帯の大気汚染変遷を明らかにする。
(1)顕微分光法を用いて得られた絶対年代のクロスチェックのために、鍵層を見出すことを試みた。長崎原爆と1960年台初頭の大気圏内核実験に起因する^<137>Csの高濃度部分をトゥファ中で見出すことができた。
(2)鍾乳石およびトゥファ中の硫酸イオンがイオン交換反応で共沈することを国内および台湾の試料を用いて明らかにした。
(3)明治以降の北九州工業地帯の大気汚染変遷をトゥファ中の硫酸イオン濃度から読み取ることができた。
3.大分県稲積水中鍾乳洞の水没鍾乳石から阿蘇火山の大規模活動と鍾乳洞発達史との関連を明らかにする。
(1)カナダMcMaster大でU-Th法による絶対年代測定を行った大分県稲積水中鍾乳洞の水没鍾乳石について、再検討を行った。水没の原因はAso-4火砕流による谷の埋没にあると考えられていたが、見積もられた絶対年代は17万年前となり、Aso-1とAso-2の間に成長したことが明らかとなった。鍾乳石中の厚さ1mm程度の粘土層の枚数は鍾乳石の水没の回数と一致するものと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2006 2004

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Why did the ancient inhabitants of Palmyra suffer fluorosis?2006

    • 著者名/発表者名
      K.Yoshimura, T.Nakahashi, K.Saito
    • 雑誌名

      Journal of Archaeological Science 25(in press)

  • [雑誌論文] 鍾乳石に記録された山口県秋吉台カルスト地域の植生変遷2006

    • 著者名/発表者名
      栗崎弘輔, 中村久, 川村秀久, 向陽子, 畑江久美, 吉村和久
    • 雑誌名

      地球化学 40(印刷中)

  • [雑誌論文] Deep source CO_2 in natural waters and its role in extensive tufa deposition in the Huanglong Ravines, Sichuan, China2004

    • 著者名/発表者名
      K.Yoshimura et al.
    • 雑誌名

      Chemical Geology 205・1/2

      ページ: 141-153

  • [雑誌論文] 秋吉台におけ土壌CO_2濃度の季節変化と化学風化に及ぼす影響2004

    • 著者名/発表者名
      井倉洋二, 杉村昭弘, 吉村和久
    • 雑誌名

      秋吉台科学博物館報告 39

      ページ: 1-11

  • [雑誌論文] 秋吉台におけるアカネスゲの分布と土壌pH2004

    • 著者名/発表者名
      中村 久, 井倉洋二, 向 陽子, 吉村和久
    • 雑誌名

      秋吉台科学博物館報告 39

      ページ: 37-45

  • [図書] 物理・化学から考える環境問題-科学する市民になるために2004

    • 著者名/発表者名
      白鳥紀一編著
    • 総ページ数
      259
    • 出版者
      藤原書店

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi