研究課題/領域番号 |
15651009
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
豊岡 了 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90019753)
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研究分担者 |
三輪 誠 埼玉県環境科学国際センター, 研究員
門野 博史 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (70204518)
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キーワード | 統計的干渉法 / DESPI / 生長計測 / 生長速度のゆらぎ / 菌根菌 / レーザ誘起蛍光法 |
研究概要 |
緑色植物の生長と環境負荷の関係を実時間的に直接計測した例はこれまでにない。本研究では申請者らが独自に開発した2つの光学的手法である統計干渉法および動的スペックル干渉法(DESPI)を用いることにより、植物の生長を秒以下の短い時間でサンプリングし、ナノメータレベルの精度で計測することを試みた。ヤブランの葉の生長計測の実験では、毎秒数ナノメータ、伸び率にして毎秒10^<-6>のオーダの局所ひずみ値の時間変化を得ることに成功した。興味ある現象として、これらの計測により植物の生長は一定速度で進展するのではなく、なゆらぎ現象を伴いながら生長することが明かされ、さらにそれらが環境負荷、具体的には大気中のオキシダント濃度に敏感に反応することが確かめられた。 多くの緑色植物は菌根菌との共生関係によって光合成活動等を効率的に行うことが知られている。本研究では、アカマツの実生苗の根および葉の生長を統計干渉法およびDESPIで計測することを試みた。従来の乾燥重量計測法などから、菌根菌に感染していない実生苗は感染した実生苗に比べて生長が著しく悪いことが知られている。本研究では統計干渉によるアカマツの根の生長計測を、菌根菌に感染した実生苗と非感染の実生苗について実施したところ、生長速度に明らかな差異が見られ、従来の計測結果を秒レベルの短い時間域で確かめられた。 これらの実験から、統計干渉法による秒レベルのサンプリングレートによる植物の生長計測を可能にする実験法であることが確認された。 次年度以降は、統計干渉法と並行してDESPIによる2次元視野における生長分布の計測を行う予定である。さらに、菌根菌の有無、その種類によって生長がどのように変わるか、環境負荷の影響がどのように現れるかを詳細に検討する。光合成活動との関係を明らかにするために、光合成量の直接計測および、レーザ誘起蛍光法などすでに確立した計測を行い、統計干渉法およびDESPIによる計測結果との比較検討を行う予定である。
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