本年度はユーグレナ(Euglena gracilis)の培養環境を整備し、培養条件を検討した。光照射可能なインキュベートボックスを設置し、恒温25℃、白色蛍光灯により5000luxの照射光が確保できる培養環境を整えた。この中でKoren-Hunter培地を用いてユーグレナを培養したところ、定常期に達するまで4-5日を要することが分かった。また現在、葉緑体欠損ユーグレナ株の暗培養条件を検討中である。 培養したユーグレナを種々の変異原で処理することによって細胞中に異なる種類のDNA損傷を生じさせ、DNA修復のために一定時間培養後、葉緑体・ミトコンドリア・核にそれぞれ特異的な遺伝子を標的に定量的PCRを実施、目的遺伝子がどれだけ増幅されたかで損傷がどの程度治されたかを、オルガネラごとに推定することが研究の骨子である。現在、定量的PCRに最適な条件を見つけるため、培養したユーグレナに電離放射線、紫外線、活性酸素産生剤、メチル化剤、アセチルアミノフルオレン活性体、クロスリンカー(シスプラチン)を変異原として処理し、それぞれにおけるユーグレナの生存率を測定、実験にふさわしい放射線の照射線量・薬剤の処理濃度を決定中である。
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