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2003 年度 実績報告書

シンクロトロン放射を用いた放射線DNA損傷の分光学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15651023
研究機関特殊法人日本原子力研究所

研究代表者

横谷 明徳  特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・表面化学研究グループ, 副主任研究員 (10354987)

研究分担者 赤松 憲  特殊法人日本原子力研究所, 保健物理部・放射線リスク研究室, 研究員 (70360401)
藤井 健太郎  特殊法人日本原子力研究所, 博士研究員 (00360404)
キーワードDNA損傷 / シンクロトロン放射 / ESR / ラジカル / 酸化的塩基損傷 / DNA鎖切断 / グリコシレース / 内殻共鳴励起
研究概要

放射線による突然変異や発ガンなどの原因となるDNA分子損傷の生成過程の解明を目的とし、軟X線領域のシンクロトロン放射ビームをDNA関連分子に照射しながら、以下に述べる各種のDNA損傷の分析を行った。
1.DNA塩基ラジカル測定:SPring-8に設置されたESR装置のキャビティー部真空チェンバーの改良を進めると同時に、本装置を用いて核酸塩基の粉末ペレット対するラジカルの測定を行ってきた。主要な成果として、ビーム照射中にのみ観測される短寿命のラジカルが生成し、その収量は塩基分子中のカルボニル酸素のK殻共鳴により強く増感されることが見出された。この成果は、国際放射線会議(2004年8月於オーストラリア)で発表された。またESR装置のアイリスの微調整機構の改良を進めると同時に、HPLC法によるチミン塩基の損傷過程の研究も合わせて行った。
2.DNA脱離イオン測定:SPring-8に設置された4重極質量分析装置を用いて、軟X線照射によりデオキシリボース(糖)やヌクレオチド等のDNA関連分子から脱離するイオンの測定を行ってきた。イオン種の解析から、DNA分子中で最も脆弱な部位は糖部位であることが突き止められた。また二つ以上の炭素原子を含むイオンが数多く脱離してくることから、軟X線照射により糖のペントース環が完全に破壊され、その結果DNAの鎖切断が生じる可能性が示された。
3.グリコシレースを用いた塩基損傷・鎖切断測定:フォトンファクトリー放射光施設において、環状プラスミドDNAを試料として用いて、リンK吸収端軟X線照射による酸化的塩基損傷及び鎖切断のアガロースゲル電気泳動法による測定を実施した。これまでに、リンK吸収による単独の塩基損傷は少ないが、鎖切断などと共にクラスター化して生じる塩基損傷は逆に増大することが明らかになった。現在エネルギー付与部位と線量について詳しい解析を進めている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 藤井 健太郎: "Ion desorption from DNA components irradiated with 0.5 keV ultrasoft X-ray photons"Radiation Research. 161・4. 435-441 (2004)

  • [文献書誌] 赤松 憲: "Qualitative and Quantitative Analyses of the Decomposition Products that Arise from the Exposure of Thymine to Monochromatic Ultrasoft X Rays and ^<60>Co Gamma Rays in the Solid State"Radiation Research. 161・4. 442-450 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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