前年度の研究から過マンガン酸カリウム滴定法では、固体酸化物が共存している系での有機物濃度の測定は困難であることが分かった。このため、溶存有機物と懸濁有機物を分別して定量する方法を検討した。すなわち、溶存有機物は溶存有機炭素測定装置で、懸濁有機物は元素分析装置で測定することを試みた。実験に供した固体酸化物を硝子フィルター上に捕集して、それを元素分析装置で分析することにより、酸化物の種類に関わらず精度よく懸濁態有機炭素を測定できることが分かった。この方法で光酸化反応後の試料中の有機物を測定することが可能となったので、現在、有用な酸化還元活性元素-酸化物共同触媒の探索を行っているところである。 上記の研究と並行して、湖水中の有機物の分布ならびに水中懸濁有機物としての植物色素の定量法について研究を行った。種々の栄養レベルにある複数の湖での溶存有機炭素を測定したところ、基本的には栄養レベルが高いほど溶存有機炭素濃度が高いことが明らかになった。しかしながら、同ベルの湖においても、個々の分析値については湖によって大きな差があった。天然起源の水中有機物の一つである植物色素の液体クロマトグラフィーによる定量法について検討した。オクチル基担持樹脂を分離に用いることで8種の植物色素を逐次分離定量することができた。
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