研究概要 |
分離・濃縮を用いた修復技術の開発の基盤技術となる、高効率オゾン反応が可能でありかつ安全な有機溶媒と吸着剤の探索・開発と有機溶媒中の有害化学物質分解反応機構を行うことを目的とし、有機溶媒中のオゾン反応特性の解析を行なった。その結果、以下のことが明らかになった。 1)有機溶媒中でもクロロフェノール(CP類)はオゾン分解可能であり,本研究で使用した溶媒の中では酢酸が最も高い一次分解速度定数を示した。酢酸中におけるCP類の一次分解速度定数は塩素数の多い2,4,5-TCPと2,3,4,6-TeCPでは蒸留水中よりも大きく,逆に塩素数の少ない,p-CPと2,4-DCPでは蒸留水中の方が大きくなった。 2)トリクロロエチレン(TCE)オゾンとの反応性が5種類の溶媒(酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸、アセトニトリル)の中で、酢酸中の一次分解速度定数が最も高かった。 3)TCEのオゾン分解においてアクセプター数に比例して一次分解速度定数が高くなった。 4)蒸留水中と比較して同じ溶存オゾン濃度で酢酸中の一次分解速度定数は5.6倍高くなった。また、蒸留水中と比較して飽和オゾン濃度における酢酸中の一次分解速度定数は60倍高くなった。したがって地下水中で直接TCEをオゾン分解するよりも酢酸中でオゾン分解効率が良いと考えられる。 5)純酢酸、60%酢酸水溶液中でTCEは脱塩素化された。脱塩素化速度は60%酢酸水溶液のほうが高かった。 酢酸はオゾン分解に最適な有機溶媒であることが明らかになった。次年度はさらに多くの有害化学物質-有機溶媒の組み合わせ条件下における有機溶媒中のオゾン分解機構、副生成物生成機構の検討を継続し、有機化学物質の構造から適切な溶媒を選択するための方法論を確立する予定である。
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