コアーシェル型高分子微粒子開始剤の秩序配列重合によるフォトニック結晶設計

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15651041
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 石津 浩二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90016650)
• キーワード: コアーシェル型高分子微粒子 / フォトニック結晶 / 構造色 / リビングラジカル重合 / マクロイニシエータ / 格子構造 / Bragg回折 / フルカラー化

研究概要

本研究は安価な製造法でコアーシェル型高分子微粒子を合成し、リビングラジカル重合可能な開始基を導入したマクロイニシエータに変換し、第3成分モノマーを微粒子自身から放射状にグラフトする秩序配列重合でフォトニック結晶を作成し、構造色(赤、青、緑)の3原色を揃えることでフルカラー化の新技術を確立することを目的とした。本年度に得られた成果は以下のとおりである。
1 リビングアニオン重合でポリスチレン(PS)アニオンを合成し、メタクリル酸クロリドとの停止反応でメタクリロイル型(PS-MC)マクロモノマーを合成した。ジオキサン中4-ビニルピリジン(VP)、橋かけ剤エチレングリコールジメタクリレート(EGDM)の分散重合をPS-MCの存在下で行い、PSグラフト鎖による立体安定化による非水溶媒系での微粒子合成法を確立し、粒径40-900nmの粒径分布の狭いコアーシェル型微粒子を得た。
2 微粒子のPSシェル部に高分子反応でリビングラジカル重合の開始種となるジチオカルバメート(DC)基を導入したマクロイニシエータに変換した。メタクリル酸メチル(MMA)モノマー中に微粒子(粒径120nm)をC*濃度付近で分散させ体心立方(BCC)の充填格子をとらせ、UV照射によりDC基からグラフト重合し格子を固定したフォトニック結晶を作成した。この膜は透明で青色のBragg回折に基づく構造色を示した。これらの結果に理論的考察を加えた。
・次年度の継続研究で赤・緑の色を揃えフルカラー化を完成させる。

研究成果

• [文献書誌] K.Ishizu: "Architecture of Polymeric Superstructures Constructed by Mesoscopically Ordered Cubic Lattices"Macromolecular Rapid Communications. 24(4). 291-302 (2003)
• [文献書誌] K.Ishizu, M.Yasuda, T.Tamura: "Synthesis of Cross-linked Core-Shell Polymer Particles by Free-Radical Dispension Copolymerization of 4-Vinylpyridine with PS Macromonomers in Agneow Media"J.Colloid Interface Sci.. 267(2). 320-325 (2003)
• [文献書誌] K.Ishizu: "Architecture and Aggregation Behaviors of Amphiphilic Prototype Brushes"International Conference APME-5(Montreal). 59-59 (2003)
• [文献書誌] 安田宙夫, 石津浩二: "マクロモノマーを用いる非水溶媒系分散重合によるコアーシェル型ナノスフェア合成"Polym.Prepr.Jpn. 52(2). 258-258 (2003)
• [文献書誌] 安田宙夫, 打田 聖, 石津浩二: "超構造ポリマー設計(14)非水溶媒系分散重合によるナノスフェアブラシの合成と秩序配列構造が発現する構造色"Polym.Prepr.Jpn.. 52(9). 1885-1886 (2003)
• [文献書誌] 石津浩二: "球状微粒子並べた透明膜"化学と工業. 56(10). 1135-1135 (2003)
• [文献書誌] 石津浩二: "ナノ微粒子の秩序配列重合によるフォトニック結晶設計と構造色"第28回ロレアル講演会要旨集. (2003)
• [文献書誌] 石津浩二: "高分子微粒子開始剤の秩序配列重合と構造性発色"第59回表面改質研究会講演要旨集. 18-25 (2003)
• [文献書誌] 石津浩二: "東工大球形微粒子並べた透明膜-赤や青の発色に成功"日刊工業新聞掲載. (2003)