本研究は安価な製造法でコアーシェル型高分子微粒子を合成し、リビングラジカル重合可能な開始剤を導入したマクロイニシエータに変換し、第3成分モノマーを微粒子自身から放射状にグラフトする秩序配列重合でフォトニック結晶を作製し、構造色(赤・緑・青)の3原色を揃えることでフルカラー化の新技術を確立することを目的とした。本年度にえられた成果は以下のとおりである。 1.メタクリロイル末端ポリスチレンマクロモノマー(PS-MC)とp-bis(methacryloylethylthio)xylilene(BMTX)のラジカル分散共重合を超音波照射下ジオキサン中で行い、粒径1450-180nm(Dw/Dn=1.16)の高屈折率コアからなるコアーシェル微粒子を合成する技術を確立した(PBMTX : n=1.59)。この微粒子はフォトニック結晶や拡散フィルムのフィラー分散剤として応用できる。 2.アニオン重合で超分子量poly(a-methylstyrene)-block-polyisoprene(PMS-block-PI : PI 20mol%)を合成した。このPMSシェル部にリビングラジカル重合の開始剤となるジチオカルバメート(DC)基を導入した。このフィルムはPI球が体心立方(BCC)のミクロ相分離形態をとる。このフィルムをメタクリル酸メチル(MMA)に膨潤させると膨潤時間の増加とともに青・緑・赤へと発色する。各膨潤フィルムをUV照射させMMAのリビングラジカル重合でPMMAがコア・シェルに貫通したIPNフィルムを構築Braggの回折・反射を基本原理とする構造色フィルムの作製に成功した。
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