研究概要 |
近年、金属ナノ粒子を利用したナノデバイスや新規な光学材料の開発などが期待され、その粒径や形状の制御に関する研究が活発に行われている。本研究ではマイクロ波加熱による金属ナノ微粒子の創製と粒径制御を行う計画である。本年度は、マイクロ波加熱法を用いて、エチレングリコールを溶媒・還元剤としたポリオール法による金・銀ナノ粒子の作製を試みた。その結果以下のような顕著な研究成果を得た。 1)金ナノ結晶:マイクロ波照射2分後に60-90nmを一辺とするプリズム状の三角形から六角形までの多角形ナノプレートやナノロッドやワイヤーの合成に成功した。本年度はこれらの異方性生成物の最適合成条件の検討を行った。特に原料となるHAuCl_4の濃度、保護安定剤であるポリビニルピロリドン(PVP)の添加量、PVPの鎖長、溶媒などの条件を変えて合成した。その結果ナノプレートやワイヤーなどの異方性生成物の形状とサイズはこれらの条件を変えることにより制御できることを見いだした。 2)銀ナノワイヤー:エチレングリコールを溶媒・還元剤として銀ナノ材料の合成実験を昨年に続き行った。AgNo_3の濃度、核発生剤であるH_2PtCl_6の添加量、保護安定剤であるPVPの添加量、PVPの鎖長などの条件を変えて合成した。その結果、銀ナノロッド、ワイヤー、シートなどの異方性生成物の形状とサイズはこれらの条件を変えることにより制御できることを見いだした。 以上のようにマイクロ波加熱ポリオール法を用いて金についてはプリズム状多角形ナノ結晶、一方銀についてはナノワイヤー、ナノシートの合成とサイズ制御技術の開発に成功した。 来年度以降は液相レーザーアブレーション法との併用を計画している。そのための基礎実験を行いAg,LiCoO_2,CoOxなど各種材料のナノ微粒子の作製に成功した。
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