研究課題/領域番号 |
15651052
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関 修平 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (30273709)
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研究分担者 |
古澤 孝弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (20251374)
丑田 公規 理化学研究所, ビーム分配技術開発室, 先任研究員 (60183018)
砂川 武義 福井工業大学, 応用理化学科, 講師 (60329456)
佐伯 昭紀 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (10362625)
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キーワード | マイクロ波 / 孤立分子 / 伝導度 / 移動度 / 電極レス / 共役高分子 / 分子素子 / DNA |
研究概要 |
本研究では凝縮相中に孤立して存在するナノ構造体の過渡状態、特にその伝導特性を反映する1〜複数電子酸化或いは還元状態を、光反応・放射線化学反応を応用して創り出し、(1)高速過渡分光法(TAS)、(2)時間分解マイクロ波吸収伝導度測定法(TRMC)を用いた生成過渡種の電気伝導度評価、の2手法を組み合わせることによりナノ構造体(σ・π共役高分子)の電荷キャリア伝導特性の評価を行った。 ・TRMC法を用いた伝導度評価 本年度は薄膜或いは溶液中のさまざまな共役高分子材料・伝導性生体分子(特にDNA)に対し、光及び放射線照射によって電荷キャリアを生成させ、これらキャリアによる伝導度の時間変化を定量分析した。過渡伝導度の成分はTAS法による過渡種、特に正孔のダイナミクスと完全に一致することを確認し、共役系上のキャリアの実体と伝導特性、特に単一キャリアの持ち得る非等方的移動度(Isotropic Mobility)を明らかにした。この結果、共役高分子であるポリチオフェン・ポリシランなどにおいて、その分子内電荷移動度が、従来の飛行時間測定法で見積もられた移動度の値に対し10^2〜10^3倍程度高い値になることが明らかとなった。これは通常の高分子プロセスでは、素子の評価において固体構造や不純物の影響を強く受けてしまうことを示唆すると同時に、規則性かつ十分に"Impurity Free"な素子を形成した場合、これらを材料とした素子は画期的な性能を示すことが予想される。また、生体高分子でもあるDNAを、溶液中・孤立鎖の状態でその分子鎖内移動度を本手法により定量した結果、おおよそ10^<-3>cm2/Vsの移動度を示すことが明らかとなり、潜在的に高い電荷輸送性能を有することが示された。 ・TAS-TRMC両手法によるシームレスな分析と分子鎖形態との相関 TAS-TRMC両手法を同時に適用・評価し得る測定システムの構築を、現在のTASシステムに付随させる形で行い、互いに相補的な両手法の複合利用により、様々な「かたち」を有する分子鎖の「単分子」伝導特性評価システムとして確立した。上記の結果は、分子鎖の「かたち」と単分子伝導特性の相関として与えられ、分子設計へと迅速にフィードバックする事が可能となった。
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