本研究では平成16年度にはCnH2n+2として表せるパラフィン系炭化水素を炭素源として用い、ニッケル系金属表面に一端が閉じられたカーボンナノチューブ(MWCNT)を成長させることを目的としてプラズマCVD装置を作成し、成長基礎条件を決定することである。 1、ナノチューブ作成のためのCVD装置の基本部分の設計と組み立てはほぼ完了している。 2、作成したCVD装置を用いて、ナノチューブのための成長条件であるガス流量、ガス分圧比、高周波入力パワー、温度など成長の最適条件を決定しつつある。 3、電子放出特性測定のための既存装置の改造と、既存の真空機器への組み込みを行った。 パラフィン系炭化水素(CnH2n+2)でnの大きいすなわち分子量の大きな炭素源を反応装置内で分解させた場合、ナノチューブ以外に多量の分解生成物が発生することが分かった。パラフィン系炭化水素でn=1〜4は常温で気体n=5〜15では液体であることが知られているが、nが4以上では現在の反応装置では制御性に問題があり、現在まだカーボンナノチューブを安定して成長させるには問題がある。メタンあるいはエタンなどの分子量(n)の小さい炭素源用いて同様の成長条件でカーボンナノチューブを成長させ、反応生成物が本装置特有の現象であるのか、あるいは成長条件に問題があるのかを判別する必要があるので、原料炭素源の変更を次年度で予定している。また、CVD装置の改造とガスの排気性能を向上させるための真空系の改造改善し実験を繰り返している。
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