研究課題/領域番号 |
15651058
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
杉村 陽 甲南大学, 理工学部, 教授 (30278791)
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研究分担者 |
牧野 俊晴 甲南大学, ハイテクリサーチセンター, 博士研究員 (20360258)
稲田 貢 甲南大学, ハイテクリサーチセンター, 博士研究員 (00330407)
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 助教授 (30203582)
長崎 幸夫 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (90198309)
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キーワード | 生体機能 / ポリマー鎖 / 半導体ナノ結晶 / 配列制御 / エネルギー移動 / 結合 / CdS / アビジン-ビオチン |
研究概要 |
本研究は、半導体ナノ結晶表面を生体ポリーマー鎖で修飾した試料を用いることによって、半導体ナノ結晶がポリマー鎖を介して結合した系を形成し配列をめざすものである。その一環として、アビジン-ビオチン反応を用いて生体ポリマー鎖を介在させ、CdSナノ結晶に有機色素分子を結合させた系を作成した。この系が電子状態としても結合しているかどうかを調べるため、この物質に対して発光スペクトルと時間応答特性を測定しナノ結晶から有機色素へのエネルギー移動過程を調べた。半導体ナノ結晶を光励起した場合には、有機色素の直接励起も同時に起こり、これら2励起の間の分離は容易ではない。有機色素の時定数がナノ結晶の時定数よりもかなり早いため、このことを利用して2励起の分離を行い、半導体ナノ結晶から色素分子へのエネルギー移動の割合を調べた。その結果、半導体なの結晶と色素分子は電子的に結合していること、約40%のエネルギー移動が起こっていることが明らかになった。これはアビジン-ビオチン反応を用いればナノ結晶結合系の構築が可能であることを示す。今後はアビジン-ビオチン反応を用いることによってナノ結晶の結合系、ひいてはナノ結晶の配列を試みる。 このようにCdSに関しては生体機能性を利用して結合を行う研究は比較的進んでいる。しかし、CdSと比較するとSiは生体との適応性からより魅力的な材料であるが、その結合を利用するような研究は進んでいない。本研究では、Siのコロイドをパルスレーザーアブレーション法によって作成することを試みた。その結果我々の技術を用いれば発光効率の高いナノ結晶シリコンを作成することが可能となった。したがって、CdSで得た技術を利用して、今後はシリコンのナノ結晶に関しても結合状態の形成を試みる。
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