研究課題/領域番号 |
15651065
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岡田 芳樹 独立行政法人理化学研究所, 武内ナノ物質工学研究室, 副主任研究員 (90211119)
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研究分担者 |
新海 政重 国立大学法人東京大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70262889)
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キーワード | ドラックデリバリーシステム / 磁性ナノロッド / 交流磁場 / ポーラスアルミナ / ナノカプセル |
研究概要 |
本研究は、磁性ナノロッドを内部に持つ外部磁場制御型DDS(ドラッグデリバリーシステム)ナノカプセルを開発することを目的にしている。この磁性ナノロッドをカプセルの中に入れ、外部から交流磁場をかけて磁性ナノロッドをカプセル内で回転させることで、開環したカプセルから放出する薬物量を人為的にコントロールできるキャリアーを実現させる。 そこで、平成16年度は昨年度に続いて、磁性ナノロッドカプセルの作成技術の開発を行った。 昨年度と同様の方法で、アルミニウム板に作成したポーラスアルミナに、交流めっきでコバルトのロッドを形成させた。しかし、この方法で形成させたコバルトロッドは結晶性が低いことが判明した。そこで、以下に示す別の方法を試みた。 孔径0.02mmの貫通孔が蜂の巣状に開いた市販のポーラスアルミナを用い、片面に金蒸着を行うことで孔を塞いだ後、その金蒸着面を電極として直流めっきにより、孔中にコバルトを電着させた。直流めっきを行った試料を水酸化ナトリウム水溶液に浸すことで、アルミナ部分を溶解させた。走査型電子顕微鏡観察により、直径がナノサイズの無数のロッドが形成されていることが確認された。また、同時に電子線によるEDX測定を行い、形成されたロッドがコバルトであることも確認された。 次に、作成したコバルトロッドの磁気測定を試料振動型磁力計により行った。その結果、垂直方向では保持力の磁化率が3%ほどなのに対して、水平方向では14%であった。これは、コバルトナノワイヤーの磁化容易軸が、ワイヤーの長軸方向ではないことを示している。この結果は双極子相互作用と減磁効果、結晶磁気異方性により説明しているA. Kazadiらの報告と矛盾していないことがわかった。
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