研究概要 |
1.超親水面あるいは超はっ水面形成のために金属(銅)、テフロンを対象として、微細砥粒ブラスティングによる表面粗化を適用し、表面の微細凹凸構造をAFMで計測して、表面粗さ、フラクタル次元を評価するとともに、純水に対する接触角を測定した。表面粗さを50nmRa程度までに大きくした場合、親水性の銅はより親水化し、はっ水性のテフロンはよりはっ水化する。このような微細な表面粗さの範囲では、フラクタル次元とぬれ性の間には明確な相関は認められない。 2.パイレックスガラス基板上に一定の粗さをもつ表面からなるマイクロ流路を形成する技術を確立し、この上に超親水・超はっ水表面パターンを形成する見通しを得た。形成したマイクロ流路内の流れの解析を観察法によっておこなうために、CCD顕微鏡のもと化学発色反応を利用して2液の混合状態を観察・評価するための装置を試作した。また、はっ水性のシリコン表面上に、AFM陽極酸化によってナノスケールの親水性パターンを形成できることを実験的に確認した。 3.壁面のすべり境界条件を考慮した連続流モデルを構築し,マイクロ流動をナビエ・ストークス式で統一的に記述することを試みた。開発した解析手法によって、種々の超親水・超はっ水表面パターンをもつ流路内のマイクロ流動を解析した。解析によれば、超親水・超はっ水マイクロパターンの配置によって層流のかく拌が促進されることは認められないが、2液の接触界面において流れの蛇行が促進される。今後、実験による結果との比較から、解析の妥当性を検証する必要である。
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