研究概要 |
初年度は,マイクロ燃焼器側で自励振動燃焼現象が実現できる条件を探索し,そのメカニズムの解明を進め,圧電素子と組み合わせる場合に自在に振動利用できるための基礎知識の蓄積を図った。 はじめは電気ヒータによって外部加熱した石英U字型チャネルに,室温時流速範囲が数十cm毎秒から数m毎秒のメタン空気混合気を供給し,本研究実現の最重要ポイントとなる自励振動の発生領域(通路壁温度、供給混合気速度・濃度)を概ね特定することができた。しかしこの方式では振動状態の観察ができず,振動現象の十分な検討ができない欠点が判明したので,燃焼加熱式のヒータへと装置を改良し振動現象の連続的可視化を可能とした。この結果,振動現象の発生条件を特定できたほか,振動領域幅,振動周波数などの詳細を確認することができた。さらに,振動発生のメカニズムを特定するための数値計算および理論解析も実施し,S型の応答曲線の中間分岐解が振動発生条件と合致していることを見いだした。またこれらの計算から予測された低速領域の安定燃焼領域の存在を,実験的に実証することに成功した。これらの知見に基づいて,圧電素子との組み合わせへ進める。振動燃焼発生条件のなかで,この現象を自立的に維持するところまで至らなかった点が問題点として挙げられる。 現在,強度の温度勾配を与えて機械的変位が生じる系の設計を開始した段階である。試作後,マイクロ燃焼器と組み合わせ,振動燃焼下でどのような発電特性となるかを検討する予定である。
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