研究課題
本研究では、以前の報告で述べた、提案したパラドックスの大きさを表す指標に基づき、分散コンピュータシステムについて、数値的な検討を引き続き行った。システムに、新たにネットワーク結合あるいは処理容量が追加される場合、少なくとも一部のユーザに対する効用が向上することが期待されるが、Nash均衡(やWardrop均衡)の場合、全てのユーザの効用が劣化する場合があり、その場合がパラドックスである。ネットワーク結合あるいは処理容量が追加されると、全てのユーザの効用が向上することが自然に予想される。その大きさの尺度も考えられる。また、Nash均衡は、一般的にPareto最適でないが、Pareto最適な指標であるfairnessとPareto集合との関係を数値的に検討した。既に提案してあるNash proportionate fairnessとの関連も検討した。特に、Nash均衡、Pareto最適な状態の集合、および、その中の各種のFairnessを達成した状態、の間の関係について、分散システムのモデルについて、数値的な検討を行った。まず、一般的なFairnessが、各ユーザの取り得る効用の集合が凸である場合に、一意に定まることを示した。各ユーザの効用集合が凸でない場合を含む一般的なFairnessの概念を拡張した定義を見出し、その定義によると、各ユーザの効用集合が凸でない場合でも、Fairnessが一意に定まることを証明した。さらに、昨年度に引き続き、Nash proportionately fairな状態を数値的に検討した。Nash proportionately fairなPareto最適状態が必ずしも存在しないことを、見出した。これらの、研究成果について、いろいろな機会を捉えて発表し、専門家の意見をあおいだ。
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