研究概要 |
平成15年度の実施計画は評価属性についての調査と評価構造の基本理論の整備であり,次の2点を重点に実施した. (1)評価構造の理論の整備 調査に基づき,現在研究している評価構造の数学的理論を再整備した.特に,対象によって切り替わる複数のタイプの評価属性の集まりを評価構造として定義した.評価構造に関連する概念を整備し,評価属性の変化する選好関係や一貫性が満たされない場合の選好関係を取り扱うためのフレームワークを作成した.選好関係,評価構造,評価構造による表現可能性などの概念を定義し,それらの間の性質を分析することによってフレームワークを作成した.評価属性についての前提についても吟味し,適切な評価属性が存在せず新たに作成しなければならない場合に分けて理論構築を図った. (2)評価属性の変化する場合と一貫性が満たされない場合についての調査 効用理論,意思決定理論,測度理論等の評価にかかわる研究を再調査した.特に,意思決定の過程において評価属性の変化が生じる場合についての研究を調査した.AHPやコンジョイント法,ファジー測度などの計算技法についても調査した.また,評価にかかわる選好関係に一貫性が成立しにくいケースとして品種が異なる対象について選好関係の調査を行った.選好関係の整合度を調査し,半数程度では整合度が低いことがわかった.また,個々の選好関係に対して評価構造を作成したが,事前に準備した評価属性では表現できない場合があることがわかった.ラフ集合における近似の概念を用いて評価属性で表現できない場合の近似の方法を開発した.
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