15年度の計画であった、1)DsRedと各種遺伝子を融合させる際のつなぎめとなるリンカー配列の開発、2)double stable transfection 用のベクターの改良、3)より高感度にタンパク質間相互作用を検出できる変異DsRedの開発、の3点についてほぼ予定通り達成することができた。 まず計画1)のリンカー配列に関しては、立体構造的に自由度が高く、十分な長さをもち、かつ各種細胞内プロテアーゼによる切断を受けにくい、という3つの条件を満たすアミノ酸配列を開発することに成功し、19アミノ酸〜54アミノ酸までの3種類の長さの異なるリンカーを作成した。計画2)のベクターに関しては、これまでのベクターサイズが9.4kbであったのに対し、不必要な領域を同定しこれを削除することによって7.8kbまでサイズを縮小したものを作成することができた。またこのベクターを使用して、ヒト培養細胞株より調製したmRNAをもとに、cDNAライブラリーを構築した。分子プローブとなるDsRedに関しても、多数の変異体を作成しその性質の解析を進めることによって、タンパク質会合がない場合のバックグラウンドの蛍光を検出限界以下にすることが可能でありながら、相互作用した際には十分な蛍光を発することができる。DsRed変異体を作成することに成功した。これにより、従来にくらべて極めて高感度に生細胞内でのタンパク質間相互作用を検出することが可能になった。
|