研究概要 |
本研究ではミトコンドリアや葉緑体に存在する環状DNAゲノムに対し,これらのオルガネラに遺伝子を導入もしくは改変する新規の方法を開発することを目的とする. 本年度は以下のような研究を行った. 1)ミトコンドリアおよび葉緑体へベクターを直接導入するため,マイクロマニュピレータにて電極をいれた微小管を細胞に接触もしくは刺入し,電気穿孔法にて遺伝子担体を膜を通過させてオルガネラ中に導入する方法の検討を行った.その結果,細胞内への陽性荷電したベクターや色素の移行が効率的にみられた.しかし,ミトコンドリアや葉緑体への高濃度での移行はまだ証明されておらず,今後の検討課題である. 2)BAC vector中にヒトミトコンドリアゲノムをクローニングして,増幅可能なベクターとする研究を行い,クローニングに成功した.このベクターが導入された細胞内で機能を発揮するかは未確認であり,今後の研究課題である. 3)葉緑体ゲノムはミトコンドリアゲノムに対して大きく,葉緑体ゲノムを一塊としてベクター化するのではなく,葉緑体ゲノムARF部をもつvectorの開発を現在検討中である.
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