研究概要 |
ペプチドレベルでのエピトープ予備解析のために、ヒトII型DNAトポイソメラーゼα(topoIIα)に対するモノクロン抗体のエピトープ解析を行なった。選択した抗体はN末端側のペプチドT1,T2に反応することが予想される抗体、4E12,7B9,6H8,7D5,1C12,9F7の6種類のモノクロン抗体である。topoIIαのcDNAを鋳型としてPCR法で様々なペプチドをコードする単鎖ヌクレオチド断片を作成し、我々が開発した融合BraCタンパク質発現ベクター(pET3C4)にイン・フレームで挿入した。確かに融合BraCタンパク質がIPTG依存的に過剰発現することを確認した後、それぞれの抗体が反応するか否かをウェスタンブロッティングで調べた。4E12抗体はT1ペプチドとの融合タンパク質と、それ以外の抗体はT2ペプチドとの融合タンパク質と反応し、抗原付与法でエピトープ解析が可能であることが分かった。この方法を順次繰り返すことで、抗原決定部位をせばめた。4E12についてはT1ペプチドの25アミノ酸残基まで、後者の5種類の抗体については約9アミノ酸残基のペプチドまで抗原決定基をせばめることに成功した。ほぼ1アミノ酸残基ごとに配列の異なるペプチドを含む融合タンパク質への反応性からから7B9,6H8,7D5,1C12,9F7抗体は3種類に分類された。1C12,9F7抗体は7B9抗体とほぼ同じ反応特異性を示すが、6H8,7D5とはそれぞれ1アミノ酸ずつずれた特異性であった。この結果は、これらの抗体がtopoII活性への影響に微妙な違いのあることを説明する。既に8D2抗体は6個アミノ酸からなるペプチドで必要かつ十分なことが明らかとなっている。今回決定したエピトープはより長い配列であったが、微妙に異なる特異性を示す抗体7B9,6H8,7D5に関しては、タンパク質工学的に抗体分子の構造を変化させることで抗体のデザインの対象として非常に有用である
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