研究概要 |
1.本研究の目的は、食品に含まれる抗酸化剤のキサンチンオキシダーゼに対する阻害活性を調べて、キサンチンオキシダーゼによるスーパーオキシド生成反応の安全で選択的な阻害剤を開発することです。虚血再潅流時の酸素毒による傷害の予防に役立てたい。 2.カシューナッツなどに含まれるアナカルディック酸は、カルドールと共にキサンチンオキシダーゼに対して特徴ある阻害活性を示す。その特徴ある阻害を測定し、反応速度論的に解析できたので、その成果を雑誌に発表した(BBA2004,印刷中)。芳香環部が協同阻害に関わり、側鎖の長鎖のアルキル基とタンパク質の疎水部との疎水結合が阻害を強化していることが推定できた。 3.アナカルディック酸及びカルドールは長鎖のアルキル基を持つことに注目して、海外の共同研究者(久保伊佐夫・米国カリフォルニア大学)が長さの異なるアルキル鎖を持つ没食子酸アルキルを化学合成した。その化合物がキサンチンオキシダーゼ反応へ及ぼす阻害作用を調べた。スーパーオキシド生成、尿酸生成、過酸化水素生成、購入した酸素モニターを使って酸素消費の阻害を測定した。測定結果を反応速度論的に解析して、第76回日本生化学会大会(2003年10月)で成果の一部を発表した。アルキル基と酵素の疎水性部の相互作用が阻害の重要因子であることが明確にでき、芳香環部がスーパーオキサイドの選択的阻害に関与していることが推定できた。雑誌へ投稿の準備をしている。 4.上記の研究で得られた測定結果についてディスカッションするため、更に精密に阻害剤の構造活性相関を解析するため、研究代表者は2003年6月に共同研究のため米国に出張した。また、11月には海外の共同研究者を岡山大学に招聘して共同研究を行った。 5.これまでの研究結果から特徴ある阻害活性を持つと推定される天然物を選び、そのキサンチンオキジダーゼ活性阻害を調べる研究を開始した。
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