研究概要 |
(1)アンケート調査の実施 1990年代半ば以降、初交年齢の低年齢化や若年者の望まない妊娠・中絶、売買春、性感染症の増加など性に関する健康問題が深刻化しており、早い時期からの性教育の充実が望まれている。性教育を進める上での問題の一つとして、性器の名称をどう教えるかがある。幼児の発達段階においては自分の外性器に関心を持つ時期もあり、小さいころから自分の体を大切にするという視点、また、排泄や生殖に関る重要な器官であるという視点から男女ともにしっかりとした名称を使用すべきであるが、相応しい名称が定着していない。そこで、今年度は、宮崎県内の幼稚園と小学校,中学校教員ならびに宮崎助産師会会員の方々、全国の思春期保健に携わる方々に対して質問紙調査を実施した。また、回収率を上げるための方策として、Web上での回答も試みた。 郵送による配布数は2337部、有効回収数855部、Webによる有効回答数21部であった。 対象者自身も小・中学生のころ性器の使用については大変抵抗があったと回答した者が女性に多かった。女子の発達段階における名称は幼稚園では「おちんちん」「おちょんちょん」が多く、小学1年生以降、学年が上がるに従い「ワギナ」「女の子の性器」「膣」が多くなったが、職種、性別によって相応しいとする名称に差異が見られた。 (2)オーストラリアにおける性教育視察 エイズ蔓延の可能性を察知し、総合的な対応で1984年をピークに感染率を急激に低下させ、売買春の合法化や学校教育にPDHPE(Personal Development, Health and Physical Education)を取り入れたオーストラリアにおける性教育の現状を視察した。小学校にセクシュアリティー教育を行なっている民間団体であるInterrelate訪問、Gymea High Schoolにおける授業視察、オーストラリアエイズNGO連合との交流などを行なった。
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