研究概要 |
本研究の目的は,ベルリン=ブランデンブルク科学アカデミー,および中央編訳局・北京と協力して,東北大学附属図書館所蔵の『哲学の貧困』マルクス自用本書込のデジタル化・データベース化をはかり,新MEGA第IV部マルクス/エンゲルス旧蔵書欄外書込巻の編集方針を明確にすることにある。具体的には,(1)マルクス自用本全ページの画像データを作成する。 (2)マルクスの書込の解読原稿を完成し本文画像に埋め込む方式を確立する。 (3)埋め込むデータには,ウーティーヌ夫人宛献辞本の書込を含める。 (4)さらにその後の刊本(エンゲルス編集)における書込利用の実態を埋め込む。 (5)従来の書込再現方式と新方式を比較し,後者の卓越さを具体的かつ詳細に解明する。 (6)新MEGA第IV部マルクス/エンゲルス旧蔵書欄外書込を収録するCD-ROM版新MEGAの編集要項を確定する。 以上6点である。 本年度の研究では、上記(1),(2),(4)の課題をほぼ達成し、その成果をCD-ROM試作版『哲学の貧困』及び裏面記載の論文「IT時代のマルクス研究:哲学の貧困」マルクス手沢本デジタル化の試み」「東北大学附属図書館所蔵マルクス/エンゲルス貴重書閲覧システムについて」等に取り纏めた。2003年6月末にベルリン=ブランデンブルク科学アカデミーを訪問し、上記CD-ROM試作版『哲学の貧困』を紹介し、大きな関心と高い評価を受けた。次年度は残る課題の達成に努める。特に、第(5)及び(6)課題の遂行では、'海外の研究者を短期間招聘し、集中的な討議をはかることで、この研究課題のさらなる発展を具体的に展望したい。
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