1、俄芝居の伝承は、継承者不足のため、今日急速に失われつつあり、その実地調査と、映像・録音資料の作成と保存は、緊急を要する課題である。今年度は、前年度にひきつづき、福岡県甘木市の「盆にわか」(地しばい)、高知県室戸市佐喜浜八幡宮の「佐喜浜にわか」、大阪府南河内郡建水分神社の「だんじりにわか」、岐阜県美濃市八幡神社の「流しにわか」などを中心に、俄芝居の現行伝承の映像資料を可能なかぎり作成し、俄芝居の身体技法(発声法を含む)について考察した。 2、私が所蔵する俄芝居をはじめとする民間芸能のビデオ資料をデジタル化してコンピューター入し、半永久的な記録媒体であるDVDとして保存した。また、将来的には、ウエブ上で研究資料として広く公開したいと考えている。そのため、コンピューター操作に詳しい研究補助を雇い、映像資料のデジタル化とコンピュター入力を行った。 3、俄芝居と比較検討する対象として、歌舞伎、および近代の新派劇・新劇・各地の俄芝居、大衆演劇等の身体技法(発声法を含む)について考察した。とくに新派劇については、過去の名優といわれた人たちのレコード録音を入手し、分析・検討した。
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