研究課題/領域番号 |
15652014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
月村 辰雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)
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研究分担者 |
藤原 克巳 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (00135964)
片山 英男 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70114436)
長島 弘明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00138182)
葛西 康徳 新潟大学, 法学部, 教授 (80114437)
大木 康 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (70185213)
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キーワード | 古典 / 古典学 / 教科書 / 中等教育 / 教養 |
研究概要 |
文部科学省科研費特定領域研究「古典学の再構築」B03調整班共同研究「近現代社会と古典」(平成10年-14年)のメンバーを中核とする本研究は、まず共同研究の成果の批判的検討から出発し、ルネサンス以降に展開したヨーロッパにおける古典学の歴史において、古典古代の文学に学んで同等の質を備えた作品を制作しようとする実習的側面と、各種の文献批判の方法論を開発して歴史学等の近代人文学の基礎を築くに至る研究的側面との共存に着目した。この傾向は我国においても認められ、江戸前期に勃興した初期国学においては、伝統にのっとった和歌の制作に特化する歌学のかたわらで、叙述の観点から古事記等の神話的伝統と六国史等の歴史学的系統が分別され、近代的学への第一歩ともいうべき百科全書的な書目分類が着手されている。一方、我国における古典教育は古典語の習得を主眼とし、それ以外では鑑賞という名目で古典的美学ないし情趣の涵養のみを事としてきた。 本研究は、中等教育後期から大学教養課程においていかに古典(とりわけ古典文学)を教育するか、その具体的な方法として1冊の古典教科書の編纂を目指すものであるが、まず共同討議によって上述のごとき古典学の特性と、それが我国の従来の古典教育から欠落している次第を確認した。ついで、今後あらしむべき古典教科書は、文献批判の方法等の紹介を通じて古典のテクスト解析をおこない、あわせて古典を範とした基礎的文章作成訓練の機会を与え、こうした作業を通じて古典学の知の伝承の重みを伝えるものとする、という基本的合意を得るに至った。研究初年度の本年は、この観点から、ルネサンス以降のヨーロッパの主要な古典教科書の検討、我国の古典学関係書籍に批判的検討をおこない、また中国古典に関しては台湾において資料を収集し、現代中国の古典教育法を検討した。
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