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2003 年度 実績報告書

定期刊行物への寄稿によるイギリス・ロマン主義文学の自己形成と世論形成

研究課題

研究課題/領域番号 15652018
研究機関立教大学

研究代表者

藤巻 明  立教大学, 文学部, 教授 (30238604)

キーワードイギリス・ロマン主義文学 / 定期刊行物 / ジャーナリズム
研究概要

今年度は、立教大学から得た9月までの海外研究休暇と、3月における海外出張により、イギリスのケンブリッジ大学図書館と大英図書館で長期間学ぶ機会を与えられ、それを利用して研究実施計画の3点について、次のような結果を残した
1および2 イギリス・ロマン主義時代の社会全般についての歴史的考察と当時の主要な文学雑誌と新聞の出版情況について。当時の定期刊行物と文学をめぐる基本的研究を中心に相当数の文献を読みながら、併せて社会全体についても理解を深めつつ、当時の勃興するジャーナリズムの力、読者層の広がりなどの様々な動きについての大きな視野を獲得した。最大の発見は、当初想像していたよりも、ロマン主義者たちの相手にしていた雑誌の読者層が上の階層であり、労働者階級にまで読者層が広がるのはヴィクトリア朝時代であるということだった。
3 当時の主要定期刊行物へのロマン主義者たちの実際の寄稿の点検。足がかりとして、まずこれまでの研究を参考にして、ロマン主義詩人と新聞・雑誌の関係についての概要を押さえながら、そこで言及されている雑誌への寄稿を実際に読むという形で研究を行ない、主にWordsworth, Coleridge, Keats, Shelleyの寄稿を点検し、その結果、詩人以外の散文作家たちも含めて、当時からあった雑誌ジャーナリズム自体に対する認識を記事として書いており、定期刊行物の新たな役割とその危険性に投稿者たちが自覚的であり、危険性の認識が読者層の拡大と密接に結びついているという知見が得られた。
この研究は予想していたより裾野が広かったため、先行研究書の読解を中心とし、時に実際の刊行物に当たりながら、定期刊行物と時代、ロマン主義者たちとの関係をめぐる見取図を作成するという基礎作業に時間を要し、それをまとめて今年度中に論文という形で成果を出すことはできなかった。次年度、この研究に関する成果を学内の研究セミナー、学会誌などで発表する予定である。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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