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2005 年度 実績報告書

「物語」的機構の人間学--文学と諸学の連接

研究課題

研究課題/領域番号 15652020
研究機関筑波大学

研究代表者

青柳 悦子  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (70195171)

キーワード物語 / タクシス / アスペクト / 物語言語 / ナラトロジー / 物語自動生成
研究概要

「物語」という構造体のあり方は、文化によって、あるいはジャンルによっても多様である。本年度は、とくに、これまで「物語」概念の前提とされてきた観のある西欧的な理解による「物語」のメカニズムを相対化し、あまり注目されてこなかった、しかし重要な物語原理に光を当てるために、英語・フランス語の物語文の暗黙のルールと、日本語物語文の特性との比較検討をおこなった。このように日本語物語文に顕著に見られる原理を抽出することによって、物語メカニズムの普遍的な研究に新たな展開をもたらすことをねらい、コンピュータによる物語自動生成装置の開発・展開の一助となるべく、プログラムの精錬の鍵を提供した。この点では、岩手県立大学ソフトウェア情報学部小方孝教授との共同作業が有効であった。
より具体的な作業としては、英・仏・日それぞれの言語的特性、物語技法の研究、認知言語学の成果、比較物語論の諸研究などを参照した。インド=ヨーロッパ言語の物語文では、時制と人称とが物語世界構築のための基盤として根源的な重要性をもっていることを改めて確認し、時間軸と超越的認識地点の設置および人称の峻別によって成り立つ「ダイクシス」的原理が物語構築の要となっていることを押さえた。一方、時制と人称という概念をもともと(少なくとも中核的原理としては)持たない日本語の場合には、事象どうしの相互連関の原理である「タクシス」連関によって物語テクストおよび物語世界の構築がおこなわれていることを明確化した。このタクシス連関の諸相を今後より精密に分析し類別するための基礎的作業をおこなった。
広く「物語」と呼ばれるもののメカニズムを明らかにするには、欧米中心のこれまでの学のあり方に修正を加え、日本を始め非西欧文化に働く原理をより普遍的な説明方法で提示する必要が見えてきた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 日・英・仏語における物語言語ルールの比較2006

    • 著者名/発表者名
      青柳悦子
    • 雑誌名

      比較文化研究 2(近刊)

  • [雑誌論文] 日・英・仏語の物語文と世界認識--タクシス的構成法の開発に向けて2006

    • 著者名/発表者名
      青柳悦子
    • 雑誌名

      人工知能学会第2種研究会ことば工学研究会資料 22

      ページ: 23-31

  • [雑誌論文] 情報と物語・文学をめぐる共同討議(2)2005

    • 著者名/発表者名
      青柳悦子
    • 雑誌名

      情報処理学会研究報告 人文科学とコンピュータ 05-CH-67

      ページ: 23-30

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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