日本留学試験のうち「記述問題」に焦点を当て、その妥当性・信頼性に関する実証的研究を行なった。 前年度に引き続き採点トレーニングを受けた4名の評価者によって、記述問題の答案や模擬試験の解答作文などを評価した結果から、採点基準の見直しを提案した。この採点基準に関しては、より幅広い学習者データを対象にするために、日本語学校に在籍する日本語学習者や日本人大学生なども対象に調査を行い、その妥当性や信頼性を検討した。 さらに、記述問題が現在採用している実施方式についても、課題・量・時間などの面から検討を行った。まず、同じ日本語学習者が書いた意見文と説明文を比較し、その間にはかなり大きな変動があり、現在記述試験で採用している「意見文を書く」課題だけでは、大学における日本語運用能力を測ることは困難であり、また受験者が試験準備として行う作文の練習から考えてもより広い文の種類を課す必要のあることを指摘した。また、意見文2つの中から1つの課題を選ぶ方式が信頼性を低めていることもわかった。 また、記述問題の得点が聴解や読解などほかの日本語の試験の得点とあまり高い相関を持っていないことから、記述問題で測られているものはどのような側面であるかを分析するとともに、受験者にcan-do-statements調査を行い、自己評価との関係も調べた。 4名の研究協力者とともに、2年間にわたり月に2〜3回の研究会を行い、その研究成果を論文等に発表すると同時に、研究成果報告書にまとめた。
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