研究概要 |
今年度、本研究では,多文化環境下でのコミュニケーションがどのような文化的、心理的問題を引き起こすか、について、1)在台湾外国人が中国語を学習する際の問題、2)日本において中国人、フィリピン人児童・生徒が小中学校で学ぶ際の問題を調査した。 1)在台湾外国人が中国語を学習する際の問題では、今日、国際結婚によって台湾に来訪したベトナム人女性の中国語学習を調査するとともに、台湾人を対象とした中国語教育の歴史を調査した。また、精神分析学の見地から、台湾のマイノリティがマジョリティである漢族系台湾人とのインターラクションのなかでどのような問題に直面しているかについて、調査を行った。 2)日本において中国人、フィリピン人児童・生徒が小中学校で学ぶ際の問題に関しては、大阪市内のセンター校や進学相談会などの機会にも調査し、中国人とフィリピン人の間で状況の認識に大きな隔たりがあることを確認した。これらの問題については、別の機会に訪問したフィリピン、香港において、児童・生徒が抱える心理的・文化的葛藤の状況と、教育面でのその対処方法について予備的な情報を獲得し、それとの比較において、日本の教育制度が外国人児童・生徒に提供する選択肢という面で限られていることを確認した。現在、大阪府在住のフィリピン児童・生徒がどのような現状にあるか、データベースを作成中である。
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