昨年度の研究成果をもとに以下の研究を引き続き行った。 適応的(あるいは適応的に合理的)な期待形成や学習過程がモデルに導入されたとき、完全予見あるいは合理的期待形成に基くモデルから得られる均衡動学とどのような定性的あるいは定量的差異が生じるのか、特に、「合理的」でない期待形成のもとでの動学経路が合理的期待形成のもとでの均衡に収束しない場合、その両者がどのように関連付けられるのかの検討を行った。その際、適応的期待のもとでの経路と合理的均衡経路の時間平均の関連付けをみた。また、合理的期待形成仮説のもとでの経済モデルの動学的振る舞いと他の適応的形成仮説のもとでのそれは一般的に異なっており、最適な教育政策も異なると思われるため、合理的期待形成に基くモデルと他の適応的期待形成に基くモデルのもとでの教育政策の効果について比較検討を行いその関連を調べた。さらに、同一の期待形成過程を有する経済主体の集団に異質な期待形成過程を有する経済主体の集団が僅かに混入した場合に、動学的挙動がどのような定性的変化を蒙るかを検討し、教育政策にどのような変更を加えるべきか、既存の教育政策が異質性の混入に対してどの程度頑健であるかを検討した。
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