本研究はインターネット上に開設されたコミュニティにおいて、消費者が意見や態度を形成するプロセスに関する実証研究を行うことを目的としている。 当初の計画では、実験者のパソコンとネットワークで接続された被験者用の10台のパソコンの内部に、Webサイトに見せかけたプログラムを作成する予定であったが、予定を変更し、実際にインターネット上に実験用のWebサイトを作成することとした。初年度の予算の大部分は、この実験用Webサイトの構築費用として支出した。当初の実験計画のとおり、インターネット上にはまったく同じように見せかけられた4種類のWebサイトが作成され、被験者は全員が同じWebサイトを見ていると思わされた状態で、実際には類同条件・非類同条件、信念条件・価値条件の4群に分けられて、Webサイト上に表示される質問に順番に回答する仕組みとなっている。構築された実験用Webサイトは、例えば類同条件のページでは、「映画判断プロフィール」に関する質問において被験者が回答した内容にほぼ似通ったプロフィールをもつ架空の「他の回答者」のプロフィールが表示されるようにするなど、パールで記述された複雑なプログラムがhtmlインタフェースの裏で動く仕組みであり、この構築にかなりの時間と費用を要した。実際の実験用Webサイトの完成は2003年の12月後半の時期になり、その後若干の修正期間を経て、2004年2月に神戸大学経営学部にて、第1回のパイロット実験を実施している。この実験の結果、各被験者が回答した内容が、設計通りにサーバー内に保存され、これを取り出して分析することが可能であることが確認されている。 この実験用Webサイトを使用して、2004年4月の新学期開始早々に、新潟大学の電算機室を利用して、150名程度の被験者に対して第1回の実証実験を行い、分析結果を論文にまとめて発表する予定である。
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