前年度の科研費によりインターネット上に構築した実証実験用のWebサイトを使用して、今年度は実証実験による仮説の検証を行った。本年度春に提出した交付申請書において一部報告したように、実証実験は2004年2月および3月のプリテストを経て、本実験を2004年4月に実施した。実験デザインは、2要因(類同性と判断主題)において対応があり、1要因(被験者の関与レベル)において対応のない3要因による繰り返しのあるランダム・ブロックデザインであり、被験者数は84名、うち有効分析対象は81名であった。実験中に2回測定される被験者の映画に関する判断の確信度の変化値を従属変数とし、2(類同・非類同)×2(信念・価値)×3(高関与・中関与・低関与)の、3元配置分散分析を行った。 分析の結果、下位検定では類同性要因の主効果と類同性×関与レベルの交互作用効果がともに有意であり(それぞれp<.01、p<.001)、これは高関与の被験者は意見一致者が類同他者(すなわち類同一致者)である場合には自己の判断の確信度を大きく高めるのに対して、意見一致者が非類同他者(すなわち非類同一致者)である場合には、逆に自己の判断の確信度を大きく低下させることを示している。これに対して関与レベルが中および低レベルの被験者は、意見一致者が類同・非類同のいずれの場合も、自己の判断の確信度にそれほどの影響を受けなかった。このように本実験の結果からは、仮説が概ね支持されたものの、被験者の関与レベルによる違いが明白になった。 本実験の問題点としては、事前に被験者の映画に関する関与レベルを測定するために開発した尺度が、最終的に抽出された4つの因子による累積負荷量が44%と低く、被験者の映画に関する関与レベルの半分以下しか説明できていないことである。 2005年度は、さらに実験条件を変えて継続して実証実験を繰り返す計画であるが、その際には被験者の映画に関する関与レベルをより正確にとらえられる測定尺度を開発したい.
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