まず、今年の研究からわかったことは次のことです。 1.SCMシステムのベンダーの中に可変取引と類似した仕組みを持っているものがあること。 2.EDIにおいてSOAPを標準化として取り込む動きがあるが、日本の動きは遅いこと。 3.ここ1・2年で自律分散型のSCMに関する研究が散見されるようになったこと。 4.工学系で、工場内での調整技術をサプライチェーン内へと拡大する動きがあること。 5.SOAPを利用してシステムを作るよりもマルチ・エージェント(以下MA)を使用したシステムで実験をするほうが効率的だと思われること。 以下、上記の一部を若干詳細に記します。 上記の5は不確実で現在進行形です。ただし、SOAPとMAのシステムを構築する人的資源がないため、当初予定していたSOAPからMA一本にシフトしています。 上記の1は、SCMシステムのベンダーに出向きインタビューを行いました。同じものではないかと思われましたが、従来の集中型SCMシステムに対して外付けオプションを付けるようなものであることがわかりました。ただし、市場の需要に対して受動的に反応するだけではなく能動的に働きかける点で、新しい動きです。この仕組みを提供するベンダーは、最初、1社でしたが、後続企業がもう1社現れています。 上記の4については、工学系で培われた工場内での調整技術を活用するために、企業間で交換し合うデータをSOAPで公開しあうシステムの試作が、既にWeb上に公開されています。 ここまでで、本研究の位置づけが若干明らかになりました。本研究は上記1のSCMシステムベンダーや4の工学系の取り組みの中間に位置します。 現在、MAでのシステムを構築中です。このシステムを利用した実験によって定量的な差が見出されることを期待しています。定量的な差が見出されない場合、インタビューや文献調査に基づく定性的な結論のみになる可能性もあります。
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