研究課題
IPOを多く手がけている、ベンチャー・キャピタル(証券系、銀行系、生損保系)及びIPOのアドバイス・サービスを行っている監査法人で聞き取り調査をした。聞き取りの主要な点は、(1)何に基づいて投資の是非や投資金額の決定を行っているか、(2)主幹事証券会社や監査法人と利害を異にしているのはどのような点か、であった。日本のベンチャー・キャピタルにおいては投資対象についての明確な評価手法が開発されているとは言えず、「目利き・セレンディピティ」システムとでもいうべき、経験に基づいた判断が最も重視されていることが分かった。また、ベンチャー企業を取り巻く、3つの専門家(ベンチャー・キャピタルと主幹事証券会社と監査法人)の利害は必ずしも一致しておらず、何らかの理論モデルを用いた分析が必要となることが明らかとなった。また、社会人大学院の大学院生でIPOコンサルティング企業の代表者がおり、IPOの具体的局面における問題を詳細に議論することができた。また、社会人大学院生達と研究会を持ち、IPOのメリット(資金調達の容易さ、創業者利得の獲得、知名度の上昇、優秀な人材の獲得等)とデメリット(コンプライアンスの重要度が高まる、コーポレート・'ガバナンスに関する配慮の必要、企業買収・経営権喪失の虞、インサイダー取引規制に対する配慮の必要等)に関する具体的な考察、及び複数のIPO成功ケースを材料として、IPO成功以後の当該会社の状況を分析し、その成否の原因を分析した。また、「研究開発型ベンチャー企業」においては、研究開発の成功がIPOへの鍵となる。そこで、平成16年度においては、研究開発投資効率の問題にも取り組んだ。財務データの入手可能性における制約から日本の電機機器産業の財務データを用いて、研究開発ストックの価値を測定し(その前提として、アーモン・ラグ検定により、研究開発投資の発現までのタイムラグと効果存続の期間を推定した)、累積研究開発投資額で除して研究開発投資効率を算定した。
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會計 第167号第1号
ページ: 1-13
日置弘一郎, 川北眞史編著『日本型MOT-技術者教育からビジネスモデルへ-』
ページ: 185-191, 201-210
会計プログレス 第5号
ページ: 37-48