本研究は、コンピュータやネットワークの発達による社会のデジタル化の進展に対応して計算物語論ないしは計算文学理論を基盤とした広義の物語生成やハイパーテキスト小説の開発を通じてコンテンツ研究の新たな手法を検証し、その向こうにハイパーストーリーとでも言うべきデジタルメディア時代に対応したコンテンツの新しい可能性を模索して情報メディア論に新たな研究手法をもたらすことを目的としている。 平成15年度は、研究の初年度として資料収集及び以下のような関連諸分野の基礎的調査・検討を行った。(研究代表者・研究分担者) ・談話理論:特に物語的な談話における文章の連接関係に関する分析を行い、物語の文章構造に関連する知識構造を検討した。 ・情報コンテンツ表現論:Webの表現方式について既存のプレゼンテーション技法等との関連において調査した。 ・物語論・文学理論:従来のコンテンツ分析を拡張し、デジタルコンテンツを対象とした新たな修辞学の理論として再構成することを目指して、ポジション・ペーパーを発表した。 ・資料収集:「ハイパーストーリー」を構築するためには、既存のコンテンツからモデルを抽出する必要があった。そのために、テクストから音声・画像・動画などの表現形態に変容し、それがネット上を流通しており、さらにバリアフリー対応まで行われている事例として「注文の多い料理店」を選定し、網羅的な資料収集を行った。 研究の成果がネットワーク上のコンテンツと深く関連することに鑑みて、国内外の研究者と意見交換と相互評価を積み重ねた。平成15年度には本研究の指針を再確認するために相応しい国際会議(International conference on Cognitive Science)がオーストラリアで開催されたので、研究発表を行った。
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