本研究は、コンピュータやネットワークの発達による社会のデジタル化の進展に対応して計算物語論ないしは計算文学理論を基盤とした広義の物語生成やハイパーテキスト小説の開発を通じてコンテンツ研究の新たな手法を検証し、その向こうにハイパーストーリーとでも言うべきデジタルメディア時代に対応したコンテンツの新しい可能性を模索して情報メディア論に新たな研究手法をもたらすことを目的としている。 平成16年度は、以下のような調査・検討を行った。 (1)ハイパーテキスト小説及びその自動化に関する研究(研究代表者) テクノロジーとしてのハイパーテキストを言語芸術作品の表現技法へ応用し、従来は紙媒体を対象として繰り広げられていた文学の生成・受容・批評という行為を電子的な媒体及びネットワーク上で拡張するための研究を行った。 (2)物語の高度な自動生成・表現方式の研究(研究分担者) 物語生成方式に関する研究を、「何が語られるか」という物語内容の側面と、「如何に語るか」という物語言説の側面に分け、より精緻な分析とモデル化及びシステムの実験的開発作業を進め、これを統合的な物語生成機構の研究に接続する試みを行った。 研究の成果がネットワーク上のコンテンツと深く関連することに鑑みて、国内外の研究者と意見交換と相互評価を積み重ねた。平成16年度には本研究の指針を再確認するために相応しい国際会議(The 18th Congress of the International Association of Empirical Aesthetics)がポルトガル共和国リスボンで開催されたので、研究発表を行った。
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