研究概要 |
出生直後の乳幼児は、起き直りや這うなどの姿勢をとり、さまざまの運動が出来るようになる。このような行動発達に伴い身体の発育も急速に進行し、行動発達と身体成長が急速に進行することが乳幼児の行動発達の特徴のひとつとなっている。本年度は、奄美・宮崎・広島において12ヵ月齢までの乳幼児の身長/体重/胸囲/頭囲の成長について調査を行い、月齢ごとの成長と成長速度を手がかりとして、成長における性差を検討した。まず、保育園に通園する乳幼児の保護者を対象とした質問紙調査を行った(鹿児島県名瀬市:137名、宮崎市:373名、広島市:175名、計695名)。調査は、性・生年月日・兄弟・姉妹数・出生時/1ヵ月/3ヵ月/6-7カ月/12ヵ月、時の検診時の身長/体重/胸囲/頭囲・母乳/混合乳/人工乳の栄養法・首のすわり・寝返り・ハイハイ・伝い歩き・一人歩きの時期,および両親の生年月日等について記入するように依頼した。その際、母子手帳等を参考として回答するように依頼した。本報告においては、3地域をまとめて、出生時、1ヵ月齢、3ヵ月齢、6/7ヵ月齢、およ12ヵ月齢の各時期における身長/体重/胸囲/頭囲と、各測定値について月齢間の成長量について性差を分析した。分析結果の概略は次のようであった。まず、出生時、1カ月齢、3カ月齢,6/7カ月齢、および12カ月齢時の身長/体重/胸囲/頭囲について男児と女児で比較したところ、全ての時期と計測値で男児と女児の成長に差異が見られ、男児が女児よりも大きく重かった。次いで、各時期における累積成長量を検討した結果から、身体成長が男児と女児の違いによって異なること、男女児ともに1カ月齢/3カ月齢に成長量のピークのあること、成長量には発達時期の違いにより性差のあることが明らかとなり、これらの結果は初期発達段階においてすでに身体プロポーションに性差のみられることを示唆する。
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