研究概要 |
人間の乳幼児の行動発達の特徴のひとつは、他の動物と比較すると極めて緩慢なことである。しかも、乳幼児の行動発達や身体成長に関わる要因は極めて多様であるところから、乳幼児の身体成長、とりわけ身長、体重、胸囲、頭囲の月齢ごとの成長と成長速度を手がかりとして、成長の特徴を検討することが必要である。鹿児島県名瀬市、宮崎市、および広島市の保育園に依頼し、通園している乳幼児を対象とした質問紙調査を行った(計685名)。調査は、性・生年月日・兄弟姉妹数・出生時/1カ月/3カ月/6-7カ月/12カ月、時の検診時の身長/体重/胸囲/頭囲・母乳/混合乳/人工乳の栄養法・首のすわり・寝返り・ハイハイ・伝い歩き・一人歩きの時期,および両親の生年月日等について記入するように求めた。その際,正確さを期すために母子手帳等を参考として回答するように依頼した。本年度は、3地域における、出生時、1カ月齢、3カ月齢、6/7カ月齢、および12カ月齢時の身長/体重/胸囲/頭囲と月齢間の成長量について分析した。最初に、出生時、1カ月齢、3カ月齢、6/7カ月齢、および12カ月齢時の身長、体重、胸囲、および頭囲について3地域間で比較した。累積成長に統計上にいずれも地域差は見られなかった。次いで、各年齢段階間の成長量を比較した。身長の増加量については、1-3カ月齢に有意な月齢差が見られ、体重の増加量にも1-3カ月齢に有意な月齢差が見られた。また、胸囲と頭囲の増加量に関しても、1-3カ月齢に有意な月齢差が見られた。これらの結果は、身体成長に見られる月齢差が測定部位の違い等によって異なるきわめて複雑な現象であることを示唆している。
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