母親の分離不安の変化過程を検討するために、子どもの保育園・幼稚園入園直後から1週間、毎日日記形式の質問紙への記述を依頼した。内容は、子どもと分離した後に生じる母親の感情、分離前の子どもの様子、帰宅後の子どもの様子、園の先生の対応で印象に残っていることの自由記述と、母親、子どもの不安に関する質問項目への回答(4件法)からなる。その後2週目、3週目、4週目に1日ずつ、同じ内容の質問への回答を依頼した。また、夏休み明けに、迫跡調査を行った。 分析の結果、幼稚園と保育園では、母親の分離不安の変化に相違があることが見いだされたが、その相違は、子どもの年齢に依るところも大きく、さらに被験者を増やして検討する必要があると思われた。また、母親の不安では、子どもの生活や人間関係に関する不安が多く、長く続いていることが分かった。園の先生の対応は、母親の不安の増減に影響が強く、母親の不安が強いと、同じ言葉でも悪く解釈される傾向が認められた。 それと平行して、保育園における職員研修で、分析結果を報告し、母親の分離不安を職員がどのように捉え、どのような対応をしているのかについて話し合いを行った。それを通して、保育士にとっても、自身の母親との体験が、母子の分離場面の解釈に影響を与えていることが示唆された。 現在、来年度4月の入園時に同じ調査を行うために、協力者を募り、調査用紙を送付している。また、母子分離場面の観察を行い、それを保育士や幼稚園教諭との研修に生かすことを予定している。
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