2名のSMA児を対象にして、以下のような研究・教育実践が実施された。 1.対象児の肢位や衣類などの形状の影響を抑制するスイッチセッティング 昨年度の研究で、左右の指先に意図的な動作は確認されるものの、骨格・筋肉の成長が不十分で、衣類などの影響で肢位が異なると、スイッチ操作のための対象児の「力」が違うことが推測された。そこで、スイッチの動作部分の「フレキシビリティ」と支持部分の「スタビリティ」を両立させることを目的として研究を行った。動作部分をスティック状プラスティック板を組み合わせた伸縮可能な形式にしたシステムに固定すること、この伸縮可能なシステムを粘土素材の固定台に埋め込み微調整できるようにした支持部分を作製した。その結果、観察レベルにおいては安定した動作-スイッチ操作が可能となった。 2.見本合わせ課題のためのコンピュータプログラムの開発 昨年度の研究で、意図的な動作が確認され、Yes-No反応を基盤としたコミュニケーション形成が可能であると推測された。そこで、見本合わせ課題を行うためのコンピュータプログラムの開発を行った。2件もしくは3件の見本合わせを行う課題で、丸・三角・四角からなる図形を形状と色を手がかりにして選択するものである。2名の対象児それぞれの反応状況に応じて、課題の内容・提示方法を調整でき、課題とスイッチ押しの状態を客観的に検討するための反応自動記録・保存機能を備えたプログラムである。このプログラムによる実践は現在継続中であるが、2名の対象児においては、見本合わせの形成が可能であることが推測される。
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