研究分担者 |
小松 伸一 信州大学, 教育学部, 教授 (50178357)
永松 裕希 信州大学, 教育学部, 助教授 (60324216)
原田 謙 信州大学, 医学部, 助教授 (90293513)
今田 里佳 信州大学, 教育学部(附属教育実践総合センター), 助教授 (80306670)
高橋 知音 信州大学, 教育学部, 助教授 (20291388)
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研究概要 |
注意機能の診断は従来,主観的な評定に依存してきた.これに対し本研究では,客観的パフォーマンスを指標とした注意機能検査を新たに開発し,注意能力の定量化を試みようとするものである.開発にあたっては生態学的妥当性を重視し,児童生徒にとって親しみやすい刺激材料を用い,かつ,学校での授業場面をシミュレートした検査場面を設定した.授業場面との類似性を考慮し,検査は個別ではなく小集団で実施した.検査では,視覚的刺激(文字・数字)や聴覚的刺激(音)をコンピュータ制御し,被験者に提示した.被験者は,これらの刺激をモニタリングし,教示に従って適切な反応をすることが求められる.本年度は持続的注意や反応抑制に関わるとされる注意の統制/切替(一定の規則に従った反応が成立した後,規則が次々と変化し,それぞれに応じた反応を要求する)と時間知覚(ある一定の長さの時間をどのように知覚するか)にターゲットを絞り検査課題の選定を進め,課題転換課題と,時間弁別課題,周波数弁別課題を作成した. 作成した課題を大学生,小学生及び軽度発達障害のある小学生を対象として実施した.この結果,課題転換課題では,小学生では問題待ちが課題転換の速度に影響しており,問題待ちが短い時に課題転換が速くなること,大学生では,問題待ちが課題転換の速度に影響せず反応準備が影響することが明らかになった.発達障害児では,問題待ちが長いことが課題転換を遅延させる要因であった.年齢が低い児童では何をすればよいか分からない時間が長くなると課題転換は遅くなり,発達障害が認められる場合この傾向はさらに強いものであった.時間弁別課題及び周波数弁別課題においては,課題における比較時間や比較周波数の設定,弁別閾算出方法の妥当性をさらに検討し,課題を精選することが来年度の課題となった.
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