研究課題/領域番号 |
15654017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯 祐介 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70203065)
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研究分担者 |
今井 仁司 徳島大学, 工学部, 教授 (80203298)
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 助手 (00362583)
若野 功 京都大学, 情報学研究科, 講師 (00263509)
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キーワード | 数値解析 / 逆問題 / 非適切問題 / 多倍長数値計算 / Tikhonov正則化法 / 積分方程式法 / 境界要素法 / スペクトル法 |
研究概要 |
本研究は、基盤研究B(1)「正則化法の適用による逆問題・非適切問題の解の構成に対する数学解析と数値解析」(課題番号:13440031)で得られた先駆的なアイデアの将来性に対する検討を行なっている。上記基盤研究B(1)では、多倍長数値計算環境が非適切問題の数値計算に有効であることが確認されたが、これは典型的な事例についての検証に留まっており、その汎用性や限界については十分な議論がなされていなかった。研究初年度は、汎用性に焦点を当てて研究を行なった。 本研究で利用する多倍長数値計算環境は(10進法で)100桁から数千桁程度の有効数数字を持つ環境を想定している。この環境を十分に活用するには、従来の差分あるいは有限要素法を基礎とした離散化手法は精度の点で不十分であり、スペクトル法に準じた数値解法が有効であることが確認された。すなわち、多倍長数値計算環境を利用した非適切問題の数値計算手法しては、打ち切り誤差が採用する項数に対して指数的に減少する方法の採用が必要あることが本研究の成果から示唆される。しかし一方で、従来のスペクトル法は1次元に特化されており多次元への適用が困難という問題点もあった。これに対して、分担者の今井と藤原は適当な条件下でスペクトル法の2次元化を行ない、幾つかの仮定は伴っているが数学的な評価も示すに至った。 さらに藤原は、区間演算を用いたアプローチを行ない、非適切問題の数値計算における有効桁数の事後評価についての道を拓いた。これにより、多倍長数値計算に必要な桁数が、数値計算の課程でアダプティブに評価できることとなる。 また、本課題研究の前提となる多倍長数値計算環境の高速化では、藤原が自身で設計と実装を行なった64bit上での高速多倍長数値計算環境の速度向上を図ると共に、多くのエンドユーザにこの環境が提供できるよう、Windows版の試作を行なった。この環境は、試作的には初年度に完成している。
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