研究概要 |
今年度は数理解析研究所のプロジェクト「複素力学系」の一環として,数理解析研究所で研究集会「複素微分方程式の幾何学的研究」(2004年1月19日〜1月23日),を開催し,本補助金からMarco Brunella (Universite de Bourgogne)氏を招聘し,複素力学系研究の最先端の結果について討論,共同研究を行う機会を得た. 個別の研究では,エノン写像については,Bedford, Smillie, Dujardin,射影空間上の正則写像については,Favre, Guedj氏らとの共同研究により,多次元複素力学系の固有カレントの性質と,特に層的(laminar)な性質が明らかになった.強い形の層的の定義を与えることによって,Bedford-Smillieが過去に得たエルゴード理論を援用していた結果(周期点の一様分布など)が,層的なカレントの性質として自動的に得られるようになる.(現在進行中)また.複素葉層の葉(あるいは複素微分方程式の解)が,整的な場合に極限カレントを定義する方法(Brunella, McQuillanによる)と複素力学系の固有カレントの構成の間の類似性が見いだされた.
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