研究概要 |
対称臨界性原理とは、「Banach空間X上で定義された汎関数Jに対し、ある群Gの作用に関して不変な部分空間X_G上でのJの臨界点が、X全体でのJの臨界点を与える」という原理である。 この原理は、Jの汎関数(フレッシェ)微分を、劣微分作用素を含むかなり一般的な多価作用素Aに置き換えても成立することが、本研究により示されている。 さらに、作用素Aが、必ずしも変分構造を有していない場合に対して拡張することが可能(AがG-共変であれば十分)であり、時間発展を伴う発展方程式に対して有用であろうことが期待されていた。 (1)非線形放物型方程式、波動方程式、シュレンディンガー方程式等への応用考えるとき、時間に関する微分作用素d/dtがどのような空間でG-共変となるかを調べることは重要であるが、今回L2(0,T;X),X=L2(Ω),L2(Ω)xL2(Ω),H10(Ω)xL2(Ω),などでそのG-共変性(G=O(N))が確かめられた。これらの空間は、上記の諸方程式を抽象発展方程式に帰着させるときに現れる基本的な空間であり、これは、今後の発展方程式への応用研究において重要な知見である。 (2)放物型方程式の時間大域解の漸近挙動を解析する際、コンパクト性は強力なな道具を提供する。一般の非有界領域では欠如しているソボレフの埋蔵定理にかかわるコンパクト性が、回転対称性を有する関数からなる部分空間においては、恢復するという事実に基づき、ある種の回転対称性を有する非有界領域におけp-Laplace作用素と爆発項を含む非線形放物型方程式の対称大域解のW1,p-有界性が確かめられた。
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