研究課題
研究代表者が開発した非掃引型ファブリペロー干渉計と高感度CCD検出器を組み合わせた実時間ブリルアン散乱測定装置という市販の装置にはない実時間測定の長所を活かして、生体凍結保護物質としての低分子液体のガラス転移を化学物理分野における基本的な問題として取り組んだ。具体的には、昨年度に調べたアミノアルコールでは、ガラス転移温度直上においてラセミ体とキラルな試料において弾性定数、緩和時間に僅かな差異が見出された。このことについてさらに高精度で温度変化を調べるために、CCD検出器の高感度化、測定用光学系における収差の改善などを行い、より高分解能の測定ができるように装置を改良した。この結果、ガラス転移に至る弾性的性質、緩和ダイナミクスの差異をより正確に検討することができた。さらに、平成16年度はS体とR体のある中間液体プロピレングリコールを取り上げ、キラル体とラセミ体についてその低温の過冷却液体、固体のガラス状態における弾性的性質、緩和過程の温度依存性および冷却速度依存性を詳しく調べた。その結果、弾性的性質、緩和過程の温度依存性についてはその差異の検討に必要な詳しいデータをとることができた。現在は、装置関数のより正確な評価も含めて解析が進んでいる。これらの生体凍結保護物質についての液体からガラスに至る弾性的性質の測定は他に例が無く、これらの実験結果より、分子構造とガラス化過程、結晶化過程の相関、並びに弾性的性質、粘性との相関を明らかにし、生態によりやさしい生体用凍結保護物質を予測したいと考えている。
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J.Mol.Struc. (in press)
Proc. XXth International Congress on Glass, 2004, Kyoto 7
ページ: 27
音波の物性と化学討論会講演論文集 49
ページ: 26