研究概要 |
平成16年度の研究において,我々はTHz領域での飽和分光・ホールバーニング分光を行うためのシステム構築,飽和可能性のあるモデル化合物の分光,および,THz領域における生体関連物質の吸収スペクトルの測定を行った.その概要を下記に示す. THz領域には,水の吸収が存在することが知られている.しかし,生体関連物質には多数の水分子が含まれていること,またその溶媒が水であることから、水の影響を少なくするために反射型のTHz分光光学系を用い生体関連物質の反射スペクトルの測定を行った.THz波の信号発生および検出には、フェムト秒mode-lock Ti : Sapphireレーザーをダイポール型アンテナに集光し駆動させることによって行った。対象とする試料としては,飽和効果が明瞭に検出できる特徴的構造を示すものを探査し、ターシャリーブチル基を持つモデル化合物を見出した。また、光照射によって機能発現をコントロールすることの出来る光受容蛋白質バクテリオロドプシンに着目し,光照射の有無でのTHz反射スペクトルの測定を行い,THz反射スペクトル差異を見積もった.その詳細については現在検討中である.さらには,アミノ酸、リゾチーム等の生体関連物質のTHz吸収スペクトルの測定も行っている.飽和分光・ホールバーニング分光のためには、不均一分布が推測されるとともに、対象となるモードの緩和時間が長く、構造が明瞭である必要があり、かつ、バックグラウンド吸収(水など溶媒からの寄与)の変動を受けにくいものが必要であり、現在、試料探査および評価を継続している。
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