本研究は固液複合系のレオロジーの特性を明らかにすることで火山体深部などに発生する低周波地震の物理的描像を探ることを目的としている。そのために本年度は固液複合体のレオロジー計測装置の製作を主目的としている。また年度後半の追加交付であったために十分な時間的余裕がないために、予備的な実験を研究室既存の回転型小型粘度計とレーザーシステムをつかい、ソフトゲル+粘性流体の混合体を用いて行った。固体体積分率45-60%では系は流動化を起こす降伏応力の存在が明らかになった。小さな差応力下では弾性体、大きな応力下では粘性流動と言うビンガム流体としての挙動は固液複合体に共通の特徴と考えられ、圧力流量制御弁の役割を果たすことが期待される。これは低周波波動生成の基礎的なメカニズムとなりえるものである。新規製作のレオロジー計測装置はこの予備実験の結果をふまえて設計された。当初の予想通り、レーザー可視化によるPIV法による速度場計測・ローカルレオロジーの決定は固液複合系のような内部構造・内部不均質性が変化し得る系では有力な手法であることが明らかになった。小さな降伏応力の高精度な計測ができるように設計され、現在調整中である。
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