初年度に購入した自律型無人機(UAV、86cc・2サイクル・2気筒ガソリンエンジン機)の機体磁場環境を測定し、最も機体磁気の影響の少ない位置を決定した。この機体にGPSとデータロガを取り付け、秋田県鳥海山麓にある由利原高原において飛行実験を行った。飛行は4x6kmの範囲をグリット状に高度800m・時速130km/hで飛行させた。その結果、弱風で連続飛行100kmの自律飛行が可能であることが判明した。しかし、旋回時に高度が30m程低下する問題や、大きな機体振動のため測定器の接触不良等の問題が発生した。風速20m/hの条件で飛行した場合、自律装置は問題なく機体を制御したが、機体は風に流されるため、風下でルートを大きく逸脱する問題が発生した。また、強風下では燃料消費が激しく、連続飛行距離80kmでエンストによる飛行中断が起こった。このようなトラブルでも安全装置が作動しパラシュートが開き、ほとんど無傷で機体の回収ができることが判明した。 本機体は失速速度90km/sと大きく、素人の操縦は困難なことが判明した。今後、より低速で飛行する機体の開発が必要である。また、エンジン機は操作に熟練を要するため、当面は操作容易な電動機が必要である。この問題を解決するため、スロバキアとチェッコで電動機体の情報収集を行った。そしてスロバキアで、GROB-G109機体を選定し購入した。電動機にデジタルカメラを取り付け飛行させた結果、高解像度の画像が撮影できることが判明した。 地球電磁気・地球惑星圏学会と米国地球物理連合(サンフランシスコ)で鳥海山での飛行結果と南極での磁場探査飛行実験の可能性について報告した。
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